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預り金とは?立替金との違いや仕訳例を解説


預り金とは、企業が従業員や取引先から一時的に預かり、後日、国や自治体などに納付する金銭を処理するための勘定科目です。立替金や前受金との違いがわかりにくいため、仕訳方法に迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、預り金の基本的な意味や貸借対照表上の位置づけ、立替金・前受金との違い、仕訳例、管理・処理の際の注意点について解説します。

預り金とは、一時的に預かっている後で支払うお金の勘定科目

預り金とは、企業が従業員や取引先などから一時的に預かり、後日、国や自治体などに支払う義務がある金銭を処理するための勘定科目です。

代表的な例としては、従業員の給与から天引きする源泉所得税や住民税、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)などが挙げられます。これらは企業が従業員に代わって国や自治体に納付するため、実際に支払いを行うまでの間「預り金」として帳簿上で正確に管理しなければなりません。
  • 貸借対照表(BS)では「流動負債」に分類される

預り金は、後日支払わなければならない「義務」であるため、企業の財務状態を示す貸借対照表においては「負債の部」に分類されます。
また、預り金は1年以内に支払い(納付)の期日が設定されるのが基本です。そのため、負債の中でも特に短期的な支払義務を示す「流動負債」として処理されます。

預り金が帳簿上に残ったままになっていると、実際には納付済みであっても負債が過大に計上されることになるため、納付したらすみやかに消し込むことが大切です。

預り金と間違えやすい3つの勘定科目との違い

預り金と似た性質を持つ勘定科目として、「立替金」「前受金」「預託金(保証金)」があります。それぞれの違いを正確に理解することで、仕訳ミスを防ぐことができるでしょう。ここでは、3つの勘定科目との違いを解説します。

  • 「立替金」との違いは、預かるか、代わりに払うか

立替金は、従業員や取引先が負担すべき費用を、企業が一時的に代わりに支払った場合に用いる勘定科目です。後日その代金を請求して回収する権利があるため、貸借対照表上では「資産」に分類されます。

預り金が「他人の資金を預かり、後で支払う(負債)」のに対し、立替金は「自社の資金で立替え、後で返してもらう(資産)」という点が大きな違いです。お金の流れの方向が反対になると覚えておくとわかりやすいでしょう。

  • 「前受金」との違いは、商品の提供前か、単なる預かりか

前受金は、商品やサービスを提供する前に、取引先から代金の一部または全部を受取った際に使用する勘定科目です。いわゆる「手付金」や「内金」がこれに該当し、商品を引渡した段階で売上などの収益科目に振替えられます。

預り金も前受金も「事前にお金を受取る(流動負債)」という点では同じですが、目的が異なります。前受金は最終的に自社の「売上」になる性質を持つお金であるのに対し、預り金は自社の売上にはならず、第三者へそのまま支払われるお金です。

  • 「預託金(保証金)」との違いは、短期か、長期的な担保か

預託金(または保証金)は、取引の担保として取引先や顧客から預かるお金を指します。不動産の賃貸契約における敷金や、営業保証金などが代表的な例です。

他人の資金を預かる点では預り金と同じですが、預かる期間に違いがあります。預り金が通常1年以内に支払われる「流動負債」であるのに対し、預託金は契約が終了するまで長期にわたって預かり続けることが多く、1年を超えて返還されない場合は「固定負債(長期預り保証金など)」として処理されるのが一般的です。

【ケース別】実務でよく発生する預り金の仕訳例

実務では、預り金が発生するシーンは複数あります。ここでは、よく発生する3つのケースについて、具体的な仕訳例とあわせて解説します。

1.従業員の給与から源泉所得税や住民税を天引きしたとき

従業員に給与を支払う際、所得税や住民税を額面から天引き(源泉徴収)した場合、その天引きした金額を「預り金」として貸方(右側)に計上します。
例えば、給与30万円から所得税1万円を天引きし、残額を現金で支給した場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方
給与 300,000円 現金 290,000円
預り金 10,000円
後日、天引きした税金を税務署や市区町村へ納付したタイミングで、預り金を消し込む仕訳を行います。
借方 貸方
預り金 10,000円 現金 10,000円

2.社会保険料(健康保険・厚生年金)を給与から控除したとき

社会保険料は企業と従業員が折半して負担します。この従業員負担分を給与から天引きしたときは、税金と同様に「預り金」として貸方に計上します。実務上は、税金と区別するために「社会保険料預り金」や「健康保険料」「厚生年金」などの補助科目を設定しておくと、後から管理しやすいでしょう。

例えば、給与30万円から健康保険料15,000円と厚生年金27,000円を天引きし、残額を振込んだ場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 貸方
給与 300,000円 普通預金 258,000円
預り金(健康保険料) 15,000円
預り金(厚生年金) 27,000円
後日、従業員から預かった「預り金」と、企業が負担する「法定福利費」を合算して支払い、仕訳を行います。
借方 貸方
預り金 42,000円 普通預金 84,000円
法定福利費 42,000円

3.取引先から報酬の源泉徴収分を預かったとき

取引先に源泉所得税を差引いて報酬を支払った場合、差引いた税額分は自社の資金ではなく税務署へ納付するお金であるため、「預り金」として貸方に計上します。
例えば、報酬10万円から源泉徴収税額10,210円(税率10.21%)を引いて支払う場合の仕訳例は以下のとおりです。
借方 貸方
業務委託費 100,000円 普通預金 89,790円
預り金 10,210円

預り金を処理・管理する際の注意点

預り金は、納付期限や残高管理を誤ると、思わぬペナルティや会計処理のミスにつながることがあります。ここでは、実務で注意すべき2つのポイントを解説します。
  • 納付期限を厳守しないと延滞税などのペナルティ

源泉所得税や住民税、社会保険料など、預り金として処理した金銭には納付期限が定められています。例えば、源泉所得税は原則として天引きした月の翌月10日、社会保険料は翌月末日が納付期限です。

万が一、納付期限を過ぎてしまうと、延滞税や不納付加算税といったペナルティが課されるリスクがあります。預り金が発生した時点で納付期限をカレンダーに登録するなど、納付期限を管理の仕組みを整えておくことが大切です。
  • 預り金残高がマイナス(赤字)になる会計処理のミス

通常、預り金は「預かった金額」と「納付した金額」が一致するため、残高がマイナスになることはありません。しかし、帳簿上でマイナス残高が発生している場合、給与計算時の天引き額が少なすぎたか、納付時に立替えて多く支払いすぎたなどの計算ミスが原因として考えられます。

マイナスが発生した場合は、すみやかに原因を特定することが重要です。不足分を従業員から追加で徴収するか、企業側が負担(立替金への振替など)するかの対応を検討しましょう。

預り金を正しく理解して、経理処理のミスをなくそう

預り金とは、企業が従業員や取引先から一時的に預かり、後日、国や自治体などに支払う金銭を処理するための勘定科目です。立替金・前受金・預託金とは役割や貸借対照表上の位置づけが異なるため、それぞれの違いを正確に把握した上で仕訳を行いましょう。

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よくある質問

Q:預り金とは何ですか?

A:預り金とは、企業が従業員や取引先から一時的に預かり、後日、国や自治体などに支払う金銭を処理するための勘定科目です。給与から天引きする源泉所得税や社会保険料などが代表的な例で、貸借対照表上では「流動負債」に分類されます。

Q:預り金と立替金の違いは何ですか?

A:預り金は「他人の資金を預かり、後で第三者に支払う(負債)」のに対し、立替金は「自社の資金で一時的に立替え、後で返してもらう(資産)」という点が大きな違いです。お金の流れの方向が反対になると覚えておくとわかりやすいでしょう。

Q:預り金残高がマイナスになった場合はどうすればよいですか?

A:預り金残高がマイナスになっている場合、給与計算時の天引き額の不足や、納付時の過払いなどの計算ミスが原因として考えられます。すみやかに原因を特定し、不足分を従業員から追加徴収するか、企業側で立替金として処理するかの対応を検討します。定期的に帳簿残高と納付額を照合する習慣をつけることが予防策として有効です。