グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


ホーム >  ATM受取 >  導入企業さまインタビュー >  宮城県塩竈市役所さま

宮城県塩竈市役所さま


ATM受取 資料ダウンロードはこちら

ATM受取の導入で給付金事業の業務負担を大幅軽減

自治体や企業から個人への送金業務を効率化する、セブン・ペイメントサービスの「ATM受取」。セブン銀行ATMで原則24時間365日、現金で受取ることができるサービスです。

宮城県塩竈市役所さまには、国の経済政策の一環である「低所得者支援給付金」の給付方法としてATM受取をご活用いただきました。庁内では前例のない民間サービスの導入にあたっては、すでにサービスを利用している自治体との連携や、セブン・ペイメントサービスのサポートも役立ったようです。

今回、これまでの口座振込による給付方法に加えて、口座情報が不要な給付方法を導入したことで、職員の皆さまの業務はどのように効率化されたのでしょうか。
サービスの導入を主導した生活福祉課 福祉総務係 主査の鈴木貴大さん、係長の大友純一さんに、セブン・ペイメントサービス 営業部の渡邉謙次郎と共にお話を伺いました。

低所得者支援給付金の給付方法としてATM受取を活用
――まずは、塩竈市の特徴や、人口構成などについて教えてください。

塩竈市 福祉子ども未来部 生活福祉課 福祉総務係 係長 大友純一さん

大友:塩竈市は、日本三景のひとつである松島と仙台市の中間に位置し、1200年の歴史を持つ鹽竈神社(しおがまじんじゃ)など、多くの見どころがあります。人口5万人ほどの市で都市の賑わいと雄大な自然の両方にアクセスしやすく、暮らしや観光に適した場所です。
塩釜港を中心に港町として栄えた塩竈市は、周辺エリアに先駆けて住宅開発が進み、一時的に人口が急増しました。しかし、早くから開発が進んだ結果、少子高齢化が顕著となり、現在では65歳以上の住民が3人に1人を占めるまでになっています。そのため、高齢者世帯を中心とした社会的孤立や貧困への対策が喫緊の課題であり、市役所としても力を入れています。
――お二人が所属する「福祉子ども未来部 生活福祉課」は、そうした市民のサポートをする部署なのでしょうか。

塩竈市 福祉子ども未来部 生活福祉課 福祉総務係 主査 鈴木貴大さん

鈴木:福祉子ども未来部は、子ども未来課や高齢福祉課など、5つの課で構成されています。中でも私たち生活福祉課は、生活に困窮している方や障がいをお持ちの方への相談対応、被災者への災害支援や民生委員児童委員のサポートなど、地域の皆さまの生活の安定と自立のサポートをミッションとしています。
――ATM受取は、どのような業務で導入されたのですか?
大友:国が経済政策の一環として実施した、低所得者支援給付金の受取り方法として導入しました。

鈴木:低所得者支援給付金は、住民税非課税世帯に対して1世帯あたり3万円、その世帯の子ども1人につき2万円を給付する施策です。物価高騰が続く中、経済的に厳しい状況にあるご家庭の負担軽減を目的として、2024年11月に閣議決定されました。対象となるのは、基準日時点で塩竈市に住民登録があり、令和6年度住民税が非課税である世帯です。
ATM受取導入の目的は、給付金事業の効率化
――ATM受取の導入前は、個人に払戻す費用をどのように精算していたのでしょうか?

鈴木:支給対象と見込まれる世帯には、あらかじめ支給のお知らせまたは確認書を郵送します。対象世帯は、確認書に必要事項を記載し、口座情報が分かる書類を添付して返送します。その後、申請内容に不備がなければ会計処理を行い、申請から30日程度で振込みを実施します。

過去の給付で口座情報を把握している世帯については、手続きを省略して先行給付が可能ですが、数としては対象世帯の1割ほどしかありません。世帯の変更や、口座情報の更新が多いため、ほとんどのケースでは新規申請時と同じように口座情報の確認が必要です。
――これまでの給付金事業では、どのような点に課題を感じていましたか?

鈴木:返送された申請書類の審査には非常に時間を要していました。特に、不備対応の業務負担が大きかったですね。記載内容に漏れや誤りがあった場合、申請者に電話で正確な情報をヒアリングするのですが、何度電話してもつながらないことが多々あり、非常に苦労していました。

大友:銀行振込の場合、給付金を受取るまでに30日程度かかることも課題となっています。物価高騰による負担軽減を目的としての給付金である以上、対象世帯にはできるだけ早く届けたいのですが、手続きが煩雑なため、どうしてもタイムラグが生じてしまいます。
――これまでに、課題解決に向けた取組みはされましたか?

鈴木:書類申請のみで対応していましたが、業務効率化を進める必要があると考え、2024年にオンラインで申請できる仕組みを作りました。ただ、初めての取組みだったこともあり、想定より普及しなかった印象です。また、給付日数も3日程度短縮されましたが、大きくは改善しませんでした。そこで、業務の効率化とスピーディーな振込みを両立できる方法を探し始めました。
自治体の導入事例でATM受取を知り、興味を持った
――ATM受取を知ったきっかけを教えてください。

鈴木:昨年の「ジチタイワークス(自治体職員向けの行政マガジン)」を通じて、秋田県湯沢市さまの導入事例を知ったことがきっかけです。子育て世帯への給付金事業で、オンライン申請とATM受取を組み合わせた結果、職員の作業時間を大幅に削減したとあり、興味を持ちました。書類を手書きする必要がないので住民の皆さまの負担も軽減されますし、振込作業がなくなるので申請から給付までの時間も短縮できます。私たち職員と住民の皆さま双方にメリットがあるなら、ぜひ導入したいと思いました。
――ほかのサービスと比較はしましたか?

鈴木:ほかの自治体の情報も収集しながら、いくつかの選択肢を比較検討しました。しかし、委託したい範囲と予算が折り合わないなど、ニーズに合うものが見つかりませんでした。最終的には、費用が抑えられ、口座情報が不要なATM受取の導入に決定しました。
――導入はスムーズに進んだのでしょうか。

鈴木:これは自治体に限らないと思いますが、新しい取り組みを始める際には明確な理由付けが求められます。「従来のやり方を変える必要性はあるのか」「なぜATM受取なのか」といった点を、一つひとつ言語化し、積み上げた上で、関係各所に説明する必要がありました。セブン・ペイメントサービスさんが提供してくださった情報が非常に役立ちました。

セブン・ペイメントサービス 営業部 渡邉謙次郎

渡邉:日本全国に28,000台以上のATMがあり、近くのセブン‐イレブンや商業施設、駅などで気軽に現金を引き出せること、通知された受取り番号さえあれば口座番号なしで現金のやりとりができることなど、他社サービスにはないメリットを整理してお伝えしました。

大友:法律的な説明の補強も行っていただきました。公平性の観点から、自治体が業務を民間へ委託する場合、一般入札や総合評価競争入札の採用が推奨されています。一方で、特定の条件を満たす場合は、入札を経ずに直接交渉して契約する随意契約も可能です。公共の利益を損なうことなく適切に契約を進めるため、ほかの自治体の導入事例を参考にアドバイスをいただいたことで、庁内に対して法的な根拠を明確に示すことができました。

渡邉:当社のサービスは、これまで複数の自治体さまに導入していただいております。どの自治体さまも、法的な根拠の提示に調整を要するので、過去の事例を基に、法解釈のポイントなどをお伝えできて良かったです。また、意外だったのですが、自治体さまの間では事例や情報を共有し、相談し合うことで助け合う風土があるんですね。実際、給付金事業でATM受取をご活用いただいた秋田県湯沢市のご担当者さまをご紹介したところ、導入までの流れについてさまざまな情報交換が行われたと伺っています。当社ではサポートしきれない部分に関して、自治体さま同士の連携が奏功したのではないかと思います。
申請から受給までの期間が10分の1に。不備対応も大幅に減少
――ATM受取の導入後、給付金の受給方法はどのように変わったのでしょう。

大友:ATM受取を利用した現金給付と、従来の銀行振込の2つから選べるようになりました。ATM受取を利用する場合、確認書に記載されているコードから塩竈市のLINE公式アカウントを友だち追加すると、LINE上で申請ができます。これまでのように、書類に手書きで記入して返送する必要はありません。

申請後にLINEで届く番号をセブン銀行のATMに入力すれば、現金で給付金を受取ることができます。銀行振込を希望する場合は、以前と同じように書類を同封の返信用封筒で返送して、振込みをお待ちいただきます。
――課題だった業務効率の面で、変化を感じている点はありますか?

鈴木:確認事項の記載漏れや本人確認・口座情報等の添付漏れが不要になったことは大きいですね。入力内容に不備があってもLINE上で確認のやりとりが完結するため、不備対応の時間が劇的に削減されました。さらに振込作業が不要になったことで、会計処理業務を担当する部署からも「事務作業の負担が軽減された」という声が上がっています。

大友:利用者アンケートを取りましたが、ATM受取を利用した住民の皆さまからの反応も好評です。なんといっても、申請から受給までの期間が30日程度から最短3日になったことにメリットを感じていただいています。「手続きが簡単で、すぐに現金を受取れる点がいい」「また利用したい」といった前向きな感想が目立ちました。

――ATM受取の導入後、困りごとはありましたか?

鈴木:サービスに対する満足度はとても高く、不満や困りごとはありません。申請者の中には90代でLINEを使いこなす方や、ATM受取を利用したいと市役所に説明を聞きに、ご来庁される方もいらっしゃいました。今後の給付では市のホームページやプレスリリースで告知に加え、もう少し広くアプローチしようと思います。
――最後に、ATM受取に期待することを教えてください。

大友:今後、給付金事業の継続が決まればまた利用を検討しています。今回の経験をもとに、周知方法などを工夫してより利用率を上げていけたらいいですね。

鈴木:給付金事業の成果については報告をまとめているところですが、今回のようなサービスをきっかけに、先進的で役立つ情報は積極的に庁内に提案し、市民の皆さまのために進化する市役所を目指していきたいと思います。

資料ダウンロード・お問合せ